望遠鏡の向こう側
あ。

綺麗ごとが染みに見えてしまうのならば
綺麗なもので世界中を埋め尽くせばいい
それが当たり前になるように

両手を広げられることを
抱きしめるべきものがあることを
美しいものを認めることを
幸福だとも不幸だとも思わない

一秒先の未来も
一日の空の流れも
一年の季節の巡りも
ひとすくいの感情の中にある

そこに善悪はなくて
ただ、全てが存在していて

優しさに抱きしめられて
望遠鏡を覗きこみながら
遠くに向かって手を振り、笑う



自由詩 望遠鏡の向こう側 Copyright あ。 2009-04-24 21:06:38
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