ふちどり
木立 悟






闇のなかを 群れがすぎる
音は光り 見えなくなる
低い午後に
指ひとつ残る


二色の霧
陽の渦の橋
冷えた片目
手のひらに隠す


白い花の背
浴びては離れ
音ひとつふたつ
右胸の影


降りも昇りもしない階段
色は遠く近くしたたる
花のつく嘘
つたない嘘


合わせ鏡
むらさきの径
水のなかを
飛ぶものの声


花の上のかげろう
かげろうの上の空
空の上の空
空の底の花


風は風を鳴らして白く
光は光に影をおとす
音はずっとついてくる
午後から午後へ隠れわたる


ふり返りふり返り
花は花に遠去かる
音を 光のふちどりを
金に緑に追い越しながら


















自由詩 ふちどり Copyright 木立 悟 2009-04-24 06:15:07
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