サンドイッチ
ホロウ・シカエルボク






きみの左胸をすりぬける
すこし気の早い夏のあらし
ぼくは痛んだ胸をうけいれて
ポエティックな名前をつける
風が強すぎるから
騒がしい街が
まるでおだやかな森の
ざわめきのように聞こえる
わずか一瞬、こちらを覗き見るきみのあざやかなえりあし
刹那を永遠みたいに
後れ毛にまとわせていた



きみのうつくしさはぼくをうしなわれた世界へつれてゆく



シグナルの点滅を見つめながらきみはなみだをこぼす、ぼくはだまってそれをハンカチのしみにする、きみがいてくれてよかった、きみがいなければ、ぼくは


いつか
だれにも恥ずかしくないぼくらになれたら
路面電車に乗って
かがやく太陽の真下をさがそう
きみのまなざしは青い海を
さらにさらに真っ青に変えるから
ぼくはどんなうつくしさにも
まけないようにこころを育てよう
こちらをむいて
たわいないことを話しかけて





それをうけとめたら
陽のあたる窓辺で
いつか海でなくした
おもいでのようなサンドイッチを食べよう








自由詩 サンドイッチ Copyright ホロウ・シカエルボク 2009-04-22 20:49:33
notebook Home