パニクる
nonya


震源地も定かではない
取るに足らない心の揺らぎを
マイナス思考回路で増幅させ
大津波が来ると身体じゅうに触れ回る

さっそく駆け出していく
おっちょこちょいの鼓動と呼吸
長期休暇をとっていたはずの
なまくらな筋肉がいきなり完全武装する

白眼は赤くひび割れて
痺れた指先からは地下水が噴き出す
たったひとりの非常事態
事件は会議室でも平気で起こる

起こるはずがないとくしゃくしゃに丸めて
ゴミ箱に放り込んだ妄想を
お節介にも拾い集めて
ご丁寧にシワを伸ばして
声にまで出して読んでしまう

そんな不条理な律儀さを
どうしても憎み切れないでくのぼう



自由詩 パニクる Copyright nonya 2009-04-22 18:59:15
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