春の雨


箱庭の中に
ふりそそぐ春の雨は
ぎんいろの ひかり

松の木の葉の先の 
あの ほそいほそいところまで
全部 ゆるす みたいに
丁寧に 丁寧に降る雨

小鳥が
木の下で雨やみをまってる
やわらかな苔のクッション

時計は 眠っているから
そっと しておくといい
隙間に うずくまって
誰にも みつからない ここなら

と と ぷ

と と ぷ

揺れてこぼれる
葉の先から 白い水玉

空気は濡れていて
空は明るい
古い木の窓枠
ほこりと 緑と 水のにおい



ゆるしてくれる?



ゆるしてあげる



シャンと薄いカーテンを引くと
小鳥はいっせいに飛び立って
松の枝は ちいさい銀色を無数に撒き散らして

揺れた


空が明るい
あたたかな
涙をのみこむときみたいに
胸がつまって

痛むたましいは
ああ きっと
こんな雨を 
待ち続けていたんだろう


自由詩 春の雨 Copyright  2009-04-21 23:32:07
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