(仮題のままの数編と決定された一編)ある都へ ⅲ
非在の虹
どこもかしこも戦場じゃないか
どこもかしこも燃えてるじゃないか
どこもかしこも死体じゃないか
死体すら焼き尽くしてしまったじゃないか
これじゃだめじゃないか
生きられないじゃないか
それでもわずかな生き残りが
焼けた地面の上にごみ芥が盛り上がるように
立ち上がり
それは 人間だ
疲労困憊の人間だ
けもの以下の人間はけもの以下として
それでもやっぱり生き続けるのだ
やがて泥と唾をこねた都は出来上がる
その鼻も曲がる臭い都
その都もまた戦場になる準備を重ねている
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(仮題のままの数編と決定された一編)ある都へ