(仮題のままの数編と決定された一編)ある都へ ⅲ
非在の虹

どこもかしこも戦場じゃないか
どこもかしこも燃えてるじゃないか
どこもかしこも死体じゃないか
死体すら焼き尽くしてしまったじゃないか

これじゃだめじゃないか
生きられないじゃないか

それでもわずかな生き残りが
焼けた地面の上にごみ芥が盛り上がるように
立ち上がり

それは 人間だ
疲労困憊の人間だ
けもの以下の人間はけもの以下として
それでもやっぱり生き続けるのだ

やがて泥と唾をこねた都は出来上がる
その鼻も曲がる臭い都

その都もまた戦場になる準備を重ねている


自由詩 (仮題のままの数編と決定された一編)ある都へ ⅲ Copyright 非在の虹 2009-04-19 05:44:43
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
(仮題のままの数編と決定された一編)ある都へ