(仮題のままの数編と決定された一編)ある都へ ⅱ
非在の虹

この雨降らぬ都の名は何か
私の旅はこの都で終わる
のだろうか むかし栄えたこの都で

   「僕の食料は残り少ない
   干し肉と一かけらのチーズとわずかな水
   深夜 僕はこの都に着いてそれらを食べた
   見渡せば 夜の都はまるで古代の遺跡か
   土砂の集積だ」

この雨降らぬ都の名は何か
私の前を横切る人々の
かつては生き生きしていたかもしれない
この放心はなんだろうか

   「朝になった
   日の昇りはそのまま気温の上昇で
   僕の頭上から照りつける日差しは
   僕を罰するかのようだ
   水は瞬く間に蒸発する 水を求めて人家の前で
   額づく」

昼は炉の中となり 
夜は氷室となるこの都は
私の歩みを遅らせる
多くの人の中で
私は倒れる 叫び声を上げて
幾人かが私を取り巻き
多くの人が行過ぎてゆく

   「人ごみの中で 僕は空腹に倒れた
   目に空が映る
   僕は力をふりしぼって日陰に逃れる
   助けを求めても振り返る者はいない」

   「僕の旅はこの都で終わるのだろうか
   この雨降らぬ都の名は何か」


自由詩 (仮題のままの数編と決定された一編)ある都へ ⅱ Copyright 非在の虹 2009-04-18 22:14:04
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