michi物語一
草野大悟

ぼくは、これから、詩ではない、ひとりの女の子の話をしようと思う。
ひとりの女の子のことを書くのだから、もちろんごくごく個人的な話になる。
奴(いまでも、その子にはこの呼び方が一番似合っている・・・とぼくは勝手に思っているが)と出会ったのは、中学校の2年のときだから、いくつになるのかな?
とにかく、中学2年のときだ。

奴は、ぼくの目の中に、というより、ぼくの全身に、いきなり飛び込んできた
という表現が最もぴったりする現れ方をしている。
それは、そう、丁度新しい学年になった初めの日、桜が満開になったころの夕方。
「さよなら」突然聞こえた声の主が奴で、えっ、なに・だれ・どこ・えっ、えっ、あ???
うろきょろしているぼくを、見ていたのは、水飲み場で足を洗っていた体操部の中のひとり、
そ、ビーバーみたいな歯をして、大きな目を細めて、夕陽の中に、レオタード姿で。

「さよなら」が出会いだなんて変な話だけれど、ま、そういうこともあるよね、たぶん・・・


自由詩 michi物語一 Copyright 草野大悟 2009-04-18 00:23:39
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