花懐石
あ。

彩りと彩りがひしめきあい
ぼくはお茶をすする

うすくれないに緑が混じり
きれいなまだらの葉桜は
そよそよそよと風に任せ
勝手気ままに踊り舞う

ちょっと目線を背けてみれば
だらりのむらさき 藤の花
何も語らずゆうらり揺られ
色っぽさをかもしだす

かしこくかしこく頭を揃え
綺麗に並ぶは三色すみれ
精一杯にめかしこみ
一面ぱあっと華やかに

視界の隅っこほのかに光る
小さな太陽 蒲公英は
恵みの調べを奏でながら
強く強く咲き誇る

どこまでも飽くまでも
春であることは確かなことで
何気ない一部は絶景に変わり
切り取ればまるで
計算しつくされた配置の料理のようで

彩りに舌鼓を打ち
ぼくはお茶をすする


自由詩 花懐石 Copyright あ。 2009-04-16 18:59:07
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