花懐石
あ。
彩りと彩りがひしめきあい
ぼくはお茶をすする
うすくれないに緑が混じり
きれいなまだらの葉桜は
そよそよそよと風に任せ
勝手気ままに踊り舞う
ちょっと目線を背けてみれば
だらりのむらさき 藤の花
何も語らずゆうらり揺られ
色っぽさをかもしだす
かしこくかしこく頭を揃え
綺麗に並ぶは三色すみれ
精一杯にめかしこみ
一面ぱあっと華やかに
視界の隅っこほのかに光る
小さな太陽 蒲公英は
恵みの調べを奏でながら
強く強く咲き誇る
どこまでも飽くまでも
春であることは確かなことで
何気ない一部は絶景に変わり
切り取ればまるで
計算しつくされた配置の料理のようで
彩りに舌鼓を打ち
ぼくはお茶をすする