庭に日の差す縁側で
オイタル

庭に日の差す縁側で
かげろうにゆらりと手をかざす
つかめないな
銀のコップが透き通って
細く光る指先の丸み

着られなかった
紺の制服をまとって
うっすらとたなびくおまえ

好きだった本を重ねて
その上に座ってみた
ベッドに
深々と背を落としてみた
いやだ
涙が出る
浮き輪のように
闇へと引かれていく

見える? あたしのこと

かすみのような皮膜の上に
光の輪がいくつもゆれる

今夜は
青黒い空の
高いアンテナに腰掛けて
出かけていく母の白いうなじを見送り
明朝は
ギザの葉にたまる春の温みの粒へ
身を沈めて
風の渡りの方角を見定めよう

こっちのほう 光っているほうが
いよいよ
これからのおまえの
方角です


自由詩 庭に日の差す縁側で Copyright オイタル 2009-04-15 23:19:52
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