超躊躇
あおば

            090415

ちょうの付く字は
ちょうだよねと
幼児のような返事を返す
分かったつもりの会話です

お父さんは
会社
お母さんも
会社
お兄さんも
会社
お姉さんも会社
お祖父さんも
会社
お祖母さんも会社
私も会社
会社の中で生まれたのですもの
会社から抜けることはできませんねと
忍者のような気持ちになって
抜け忍の格好をして
横町を忍び足
買い物帰りの
妹は
弟の答案用紙を隠し持つ
弟はのんきだから
盗み取られたのも気がつかない
九の1の妹は
いつも90点は取れるから
心の中で弟をバカにしているのかも知れないが
9のうち1だけ心得違いをしていると
兄貴と
叔父貴
祖父と祖母
集団で小言を言うものだから
可哀想な妹は
萎縮して
こそこそ歩くのが上手になって
明日はいよいよ
足抜けをするのだと
私にだけそっと教えてくれた
お父さん
お母さんは
むろん感づいている
お祖父さんだって
お祖母さんだって
感づいているに決まっている
感づいていないのは
大勢の候補生だけで
これからは妹の後を付いて
こそこそ歩く訓練をはじめるのだ
私は
そんなことばかり考えているので
踵の力の抜き方が下手で
横町のどぶ板を踏み抜いて
転んでしまった
ケータイ化並四受信機は
抱え込んだので
大丈夫でしたが
ああ 痛かった








「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作、タイトルは流川透明さん。





自由詩 超躊躇 Copyright あおば 2009-04-15 20:47:18
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