新しい幸せ
ウデラコウ
例えば
目が覚めて 君が ほんとに許しきった顔で寝てるのを偶然みつけたり
暗い夜道の先の薄明るい街灯の下で 君が不安そうに僕を待っていたり
お魚を一尾だけじゃなくて二尾入ってるパックのやつを買ったり
お風呂の栓を抜かないでそのままにしておいたり
ちょっと奮発して君が好きなお酒を 少しだけ買ったり
大特価のお茶碗を小さいの一つ。大きいの一つ。選んだり
毎朝行ってきます。って君に言えたり
毎晩ただいま。って君が言ってくれたり
誰もいない筈の部屋に明かりがついてるときの心躍る気持ちとか
ちょっと気になる飲み会を断って急ぎ足で帰るとか
週末の予定が何もないのにあるふりをしてずっと部屋で過ごすとか
そういう幸せを
今まで考えたことなくて
どんどんいろんなことを考える君を僕は
すごく不思議に思ったりもしたけど
一人が本当に さみしくなって
本当にもう 戻れないなぁって思ったとき
君が言ったこと 全てが
本当になったら
どんなに幸せなんだろうと
素直に納得できた
君のためにできることなんて
僕にはないのかもしれないけど
それでもそばにいて 些細な幸せをたくさん繋いで
僕たちの周りに敷き詰めよう
そうしたら きっと
ずっと 笑顔のまま
大きくてあったかい 君の背中に 少しだけ寄りかかって
僕は 泣きそうな笑顔で
そっと瞳を閉じるんだ