踊り喰う
kauzak

わぁ泳いでる

宴会場に入ったとたんに
女性陣から声が上がる

浅い椀に入った白魚が
勢いよく泳いでいる
透明な体に赤い心臓
鰓が細かく震えている

勢いあまって椀から
飛び出すのもいて

これを食べるのかと
椀の中を覗いていたら
白魚と目が合ってしまった
というのに

網で掬って
ポン酢ダレに泳がせて
蕎麦でも啜るように
食べてしまった僕は

冷血なのか
生き物として正しいのか

白魚を味わう余裕などなくて
喉越しだけが残った


自由詩 踊り喰う Copyright kauzak 2009-04-15 00:27:46
notebook Home 戻る