そして,沈黙が事件になる
do_pi_can

いわゆるポンと膨れ上がったお腹をしげしげと見つめ,
これが中年の証しなんだと,へんに納得する午前九時,


>お前は,誰だ,誰なんだ


電車が真っ直ぐにあなたの瞳に這い登る頃,


飛行機は,等身大に傾き,
ビルの向こうに縮小しながら沈んでいく


>何処に行こうとしているのか


あなたの瞳は書割のトンネルだな


跳んでるんだ,つまり,
そう言うことなんだよ,湿ったおかきの崩落直前に跳ぶ


>何を指向し,思考し,嗜好し,試行し,施工するのかと聞き,


そして,あなたは,偽の瞳で僕を見るのだろう


崩れていく太陽光線の中,屑入れに行く父の背中,
糞まみれの青春だと,自嘲する実直な次郎長よろしく,恐ろしく,


>タベルナで食べない,何も食べない,長い夏に食欲が色あせるか


つまり,あなたは,僕が「好き」と言うまで,その瞳を続けるんだ


汗が,どっと噴出し,沈黙を表す点線だらけの吹出しが,
祭りの浴衣と一緒に,引き出しに仕舞い込まれ,


>それが,空ってものよと,あなたが言う


それで,僕は,ひたすら新聞を破る事を止められないでいる


だから,午前九時というおかしな時間に
新聞配達が呼び鈴鳴らして,数を数えるのだ


>ビルの谷間に子猫の鳴き声


そして,沈黙が事件になる








未詩・独白 そして,沈黙が事件になる Copyright do_pi_can 2003-09-23 15:00:40
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