「さくら」
もこもこわたあめ

胸の中 小さな小さな思いが産声を上げました

一週間前の今日、心は空をたゆとう雲のように軽く
重力も引力もありとあらゆる法則を無視して ただ一直線に
飛んでいきいました 舞い散る花びらの間を縫って

小さな小さな思いはみるみる大きい想いになりました

三日前の夕暮れ、胸は激しく締め付けられるように苦しく
呼吸が呼吸ではなくなってしまうような 荒々しい喘鳴に近い
体は望んでいても吐くことを許されない 短距離全力疾走

大きくなった想いは今か今かと羽ばたこうとしています

昨日夜明け前、頬は冷たく全身は血が抜けたように虚ろな
脳がすりかえられた自分のものではないような 脳の清々しさに
驚くでもなく納得するでもなく拒絶するでもない 自然にしみこんでくる

羽ばたくときは今だと胸の想いを両手でしっかり抱えて
貴方に手の届く一歩手前

貴方の胸めがけて 手を離す

貴方との間には、ただ優しい香りを纏った花びらが
二人を繋ぐ架け橋を作っていました


自由詩 「さくら」 Copyright もこもこわたあめ 2009-04-12 21:00:24
notebook Home 戻る