「さくら」
もこもこわたあめ
胸の中 小さな小さな思いが産声を上げました
一週間前の今日、心は空をたゆとう雲のように軽く
重力も引力もありとあらゆる法則を無視して ただ一直線に
飛んでいきいました 舞い散る花びらの間を縫って
小さな小さな思いはみるみる大きい想いになりました
三日前の夕暮れ、胸は激しく締め付けられるように苦しく
呼吸が呼吸ではなくなってしまうような 荒々しい喘鳴に近い
体は望んでいても吐くことを許されない 短距離全力疾走
大きくなった想いは今か今かと羽ばたこうとしています
昨日夜明け前、頬は冷たく全身は血が抜けたように虚ろな
脳がすりかえられた自分のものではないような 脳の清々しさに
驚くでもなく納得するでもなく拒絶するでもない 自然にしみこんでくる
羽ばたくときは今だと胸の想いを両手でしっかり抱えて
貴方に手の届く一歩手前
貴方の胸めがけて 手を離す
貴方との間には、ただ優しい香りを纏った花びらが
二人を繋ぐ架け橋を作っていました