白い絵
ヨルノテガム






うちのハハは口汚い声で よぼよぼのうちのおじいさんを
ののしる
いつもおれは うちのハハをなぐりつけて
だまらせる幻覚をポケットの隅に眠らせている
おれがいないとき
誰が口汚い声を聞かなければならないのだろう
誰もいないし
確かめる術は何も思いつかない



曲を聴いている
試聴の曲を聴いている
世界を試しながら
寝るしかない夜の終わりを

曲を聴いている
試聴の曲を聴いている



絵ができる
抽象的な簡素な人影に 曲線を横に添わせ
全て白で塗られた絵ができた

何か祈りたくなるような 上手でもない絵が描けた
7つの人影に 鑑賞者は対峙させられる、8人だ

願いが叶えられたら
祈りは終わるのだろうか

願うことが怖い――――――――――





もうそろそろ うちのハハは うちのおじいを
口汚くののしる

今日はなぐれそうだ
でも そうさせないで下さい 神様。




あやとりの糸を編むような曲を聴いている
あやとりの糸が自分であるような試聴の曲を聴いている

世界は(ボク)のようなお気楽な変化を許してくれるだろうか



できれば8人目の住人は私にしてほしい、そして
絵の世界へ連れて行ってほしい






言葉と

絵と

音楽と

光と

影と

そんな芸術の神様が欠伸をしておられる

くすぐりに行こう
くすぐりに












自由詩 白い絵 Copyright ヨルノテガム 2009-04-11 22:43:29
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