二人で過ごすためのレッスン
kauzak
彼女は無防備に笑う
笑っているように見える
僕はそれが羨ましくて
弟が居ることを少しだけ恨む
一人っ子の彼女と彼女の両親の
三人の生活を僕は想像できない
考えてみれば僕は
四人で暮らしていた時間が長くて
弟が生まれてから
僕が家から独立するまでの廿年余
次女が生まれてからの十年余
四十年余を生きてきた僕の人生の
スリークォーターは四人で暮らしていて
あと十年は
たぶん四人で暮らすのだとすると
人生の半分を占めるのだ
そんな馴染みきった
生活から二人になったとき
僕はどう振る舞えばいいのか
分からない予感/確信にも近い予感
があるから
もっと君と話をしよう
娘たちが寝静まったら
秘密の場所に隠したお菓子をお茶うけに