ラストスプリング.タイム
梶谷あや子

ビーカーのうわずみに春ではない
赤茶けた花のぬけがらが
私)洗浄したアセトンを吸わせてみる
結果は /遅いね、

光のみぞに

名札の傷をはがすと
一番多くあらわれた歌姫がかしいだ
おしべは 声を割ろうとはしない
だから意味を継いでも
電話がここには無い、
そんな 間にも
私の産毛で羽虫は死ぬから

怒りを白くそめ、つめよ
垂線で遠くばかり視える
とらたちのゆりかごに(産みはしないでも
ながめながら思いをつめていた
変色する 襟足のしたに

シャワーの錆を流している
何があってもベランダが開きかける
私は時が過ぎるのだと信じている、
あかい瞳で





自由詩 ラストスプリング.タイム Copyright 梶谷あや子 2009-04-10 22:59:55
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