桜の楽譜
あ。

その横顔は
花びらのようでした

春風が、ふわり
いちまい
また、いちまいと
面影を其処此処に
舞い散らせます

花吹雪が、ゆるり
上になり
下になりながら
音階を柔らかく
作り上げます

二度と刻めない
季節を、景色を
小さく歌い
包まれていたことを
思い出しながら

いたずらな季節は
髪をほどき
心をほどきます
苦しくなるほどに
痛くなるほどに

出来上がった楽譜をなぞって
とぅ、とぅ、とぅと歌うと
口にした全てが
春であり、きみでした

その横顔は
やっぱり花びらでした


自由詩 桜の楽譜 Copyright あ。 2009-04-08 20:53:49
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