夜空から、ありがとう
小川 葉

 
 
夕日が沈むと
真っ黒な紙を空にしきつめ
穴のたくさん開いた
空の向こうから
いろんな色の
ランプを照らしてる
私たちは
それが星であるかのように
夜空を見上げている

ランプを照らす
仕事をしてるのは
君のお父さんかもしれない
その証拠に
まだ帰ってないだろう

君のお父さんは
君に星をたくさん見せたくて
夜空の向こうで
働いている
その姿は見えなくても

朝目覚めると
君の隣でお父さんは
眠っていることだろう
けれどもまた
動物の世話をしに
行かなければならない
そう言ってお父さんは
仕事に出かけることだろう

お父さんは君と約束した
約束は守られて
夜空を走る
銀河鉄道に乗った
窓からたくさんの星を見た
この夜空の向こうにも
知らない誰かのお父さんが
ランプを照らしている

二人で応援みたいな
言葉を叫ぶと
夜空の向こうから
ありがとうと声がした
銀河鉄道の
汽笛の音にかき消されたけれど
ありがとうと言う声を
君とお父さんは
確かに聞いた
 
 


自由詩 夜空から、ありがとう Copyright 小川 葉 2009-04-08 06:49:59
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