お人形さんごっこ
中原 那由多

雲の行方は映写機のよう

ごぉーぅ、ごぉーぅ
あれは群集の音ですか?
ごぉーぅ、ごぉーぅ
いいえ、冬が嘆いていらしてよ

一度っきりの気休め

ごぉーぅ、ごぉーぅ
これは雨の音ですか?
ごぉーぅ、ごぉーぅ
お馬鹿さんね、妖精が憤怒を覚えているに違いなくてよ

部屋の明かりはいつからついていたろうか

ごぉーぅ、ごぉーぅ
じゃあきっと天使が嘆いているのですね
ごぉーぅ、ごぉーぅ
呆れたわ、神が絶望しているってどうして分からないのかしら

手がやけに冷たく感じる

ごぉーぅ、ごぉーぅ
だったらこれはもしかして
ごぉーぅ、ごぉーぅ
そうでしてよ、悪魔が破滅を営んでいるのですわ

生温い風が吹いた

ごぉーぅ、ごぉーぅ
ねぇ、
ごぉーぅ、ごぉーぅ
少女は薄汚い僕を抱えたまま動かなくなってしまった

ごぉーぅ、ごぉーぅ

それは死神の笑い声だったんだとさ



自由詩 お人形さんごっこ Copyright 中原 那由多 2009-04-07 10:01:19
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