街
たもつ
街がある
人が歩いている
速度と距離がある
自動販売機に虫がとまっている
市営プールのペンキがはがれている
バス停に男男女男女
窓がある
死体がある
死体の側で泣いている人がいる
死体の側で笑っている人がいる
植物の古い匂いがする
犬の気配がしている
ひたすら時計を分解している人がいる
祈りとエゴとが取り違えられてる
引き続き窓がある
向こう側で
桜の花が湿っている
誰かの慰めのように虹がかかり
それはやがて慰めのように
消えていくはずだ
父さん、
僕はかつてあなたを
殺したかった
丁度あなたが
今の僕と同じくらいの歳でした
この街でした
何もできないくせに
本気でした