肖像画
あ。
この絵に
足りないものがあるとしたら
瞳の奥に色を使うのを忘れ
きっとぼくは
二次元のような顔をしていたと思う
もしもこの中から
たったひとつ選べるのなら
今のぼくならきっと迷わず
きみのゆびさきを手に取っただろう
きみとぼくの好きな色を乗せて
瞳に色を下さい
そしてそのときだけでも
ぼくを見つめてください
情けなく懇願しながら
それでもただ
見ていられるのなら
ぼくは全てを
投げ出したっていいんだ
きみの好きな色をいっぱい使って
ぼくは出来上がる
この上ない幸福がやまなく降り注ぎ
美しい肖像画が出来上がる