花残月の思惟
夏嶋 真子




放たれた密使の矢 
固執する月の心臓をえぐる

(月は考える 空に浮かぶものを)

中空のノエシス 
無想のノエマ



天蚕糸をはう蛇が赤と交わり
花残月を思惟に染める

(白は考える 赤について)

純粋のノエシス
有罪のノエマ



春の輪舞を横目に悍ましい鮮やかさで
キメラの紅は生まれ落ちた

(花は考えている 考え続けている)

邂逅した、
邂逅する、
邂逅の果て


腐乱して蔑まれる赤の断面から
匂い立つ薫香


最も尊く
最も優しく


この瑠璃星をつつむ







携帯写真+詩 花残月の思惟 Copyright 夏嶋 真子 2009-04-06 02:50:01
notebook Home 戻る