僕の手を
智鶴

夢を見ていた僕を、君が笑った
くだらない私を
貴方は今日も愛してくれるのね
何もかも失った世界の中で
君の体温すら不安定だった

君がいるから
僕は今日を生きていた
例え
現実以外でしか君が僕を愛さなくても
夢見心地な残像を
僅かにでも残してくれるなら

君に会いたい
君が好きだ

この価値の無い想いを
君は知らないだろう
今だって僕の知らない抜け殻を抱いて
深い夜に沈んでいるんだろう
僕に見せつけるようにして
冬の日を思い出させるようにして

君の匂いが
君の声が
君の感触が
君の暖かさが
君の全てが
今僕には届かない処で
僕を忘れていく

どうか僕を思い出してください
そして願わくば
一度でもいい
心の底から愛してください
僕の名前を呼んでください

どうか
僕の手を


自由詩 僕の手を Copyright 智鶴 2009-04-05 02:23:04
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