牡丹雪
琥霙ふうり

 
頭で気付く、よりも前から
体は分かっていた
の、かもしれない
 
 
朧気[オボロゲ]に陰っていく
あなたの背中は小さく
 
しがらみの中、駆け回る
私の足は
不器用な足跡を残して
 
 
長閑[ノドカ]な昼は
何も知らないまま
浮かれた夜に
 
━━浅く眠る
 
 
ひたすらに、もだす
生み出せない
私の中、の 私
 
颯爽と去りゆく裾
掴み損ねた、時から
この手の意味は
失われてしまった
 
ふいに、訪れる
静寂に抱かれれば
耳を泣かす
 
臍[ホゾ]を噛む、音
 
 
(夢を見ていた。
 あなたを見ていた。
私自身を、
 見ていなかった。)
 
 
欠けた満月
片割れの瞳
暗闇に巣くう銀糸
 
ひっそり、と
複雑に絡み合った
姿態は晒されて
 
 
懇[ネンゴ]ろに謳[ウタ]う
一途な聲[コエ]、だった
 
故に
振り返る (雪しろの狭間)
 
私、達は
交わらないと知り
一筋の涙
 
 (思い出に解けて、
 


自由詩 牡丹雪 Copyright 琥霙ふうり 2009-04-04 18:53:22
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