埋葬
北野つづみ

別れを告げるための時間と
別れを告げるための言葉
小鳥にはふたつともなかった
死は
あまりにも突然訪れたので

空のほかには誰も見ていなかった
体には傷一つ無く
見開いたままの目は
驚きの色に染まっていた
 
温もりが消えればただの石になる
冷たくなった体を土に埋めた 
その土のうえ
今朝はうっすらと雪が積もっている
根雪にはまだ早いから
昼にはすっかり溶けてしまう
 
今日からは

雪はいく度も降っては溶け
降っては溶けしながら
地表の温度を次第に下げてゆくのだ
 
秋はゆっくりと埋葬される
別れを告げるための時間と
別れを告げるための言葉が
あなたに与えられていること
それが呪いなのか祝福なのか
定まらないままに


自由詩 埋葬 Copyright 北野つづみ 2009-04-03 20:58:47
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