チャイルドロック
木屋 亞万

しあわせな手のつなぎ方をして
やさしいセックスをしていましたら、
ベイビーが生まれてきました
生まれる前から、この子はかなりの幸せものです

ベイビーを楽園に残してわたしは旅に出ました
それはとてもたいせつなことです
たくさんのものを手に入れなければなりません
それは何よりわたしのためであり、楽園のためなのです

久しぶりに胸の中にこころを入れた状態で楽園に戻りますと
わたしの女神はどこかへ出かけておりました
ベイビーはいつの間にかすくすくと育ち
テレビの前で体育座りをしています

何かお話をしようと思ってもベイビーはわたしに見向きもしません
何かに固定されてしまったようにベイビーは画面を見つめています
女神が帰ってきて、ベイビーの背中を開いて
キーを入力すると、ベイビーは天使のように微笑み、お帰りなさいと言いました

ベイビーじゃないわ、この子はもうチャイルドよと女神は微笑み、
一人にすると何をするかわからないから、ロックをかけておくのよと
それが当たり前のことのように言いました
彼女の指輪をチャイルドが口に入れたことが原因のようです

パパ、仕方ないよ、生きていくためには石になることも覚えないと
チャイルドは近代化された笑顔を見せて、わたしを諭しました
そうだな、仕方ないよなとうなずいて、わたしは
こころを胸から外して、ファーザーロックをかけました


自由詩 チャイルドロック Copyright 木屋 亞万 2009-04-02 01:56:54
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