チャイルドロック
木屋 亞万
しあわせな手のつなぎ方をして
やさしいセックスをしていましたら、
ベイビーが生まれてきました
生まれる前から、この子はかなりの幸せものです
ベイビーを楽園に残してわたしは旅に出ました
それはとてもたいせつなことです
たくさんのものを手に入れなければなりません
それは何よりわたしのためであり、楽園のためなのです
久しぶりに胸の中にこころを入れた状態で楽園に戻りますと
わたしの女神はどこかへ出かけておりました
ベイビーはいつの間にかすくすくと育ち
テレビの前で体育座りをしています
何かお話をしようと思ってもベイビーはわたしに見向きもしません
何かに固定されてしまったようにベイビーは画面を見つめています
女神が帰ってきて、ベイビーの背中を開いて
キーを入力すると、ベイビーは天使のように微笑み、お帰りなさいと言いました
ベイビーじゃないわ、この子はもうチャイルドよと女神は微笑み、
一人にすると何をするかわからないから、ロックをかけておくのよと
それが当たり前のことのように言いました
彼女の指輪をチャイルドが口に入れたことが原因のようです
パパ、仕方ないよ、生きていくためには石になることも覚えないと
チャイルドは近代化された笑顔を見せて、わたしを諭しました
そうだな、仕方ないよなとうなずいて、わたしは
こころを胸から外して、ファーザーロックをかけました