胎動
凪目

海面がてらてらと光る
冷たい色をたたえ
満月のすがたをうつす

車輪が砂を食べていく
一回転で七百十粒
車輪が砂をしいていく
後ろでもまた一回転
千四百二十粒

誰もいない
誰も知らない
誰かの海で
音が生まれる
声が生まれる

ふくれた腹がわなないている
暖かな水をはらみ
胎児の産声を隠し

車輪が砂を食べていく
車輪が砂を食べていくよ


自由詩 胎動 Copyright 凪目 2009-04-01 22:54:27
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