命の香り
あ。

土の香りを喜ぶには
まだ余りにも未成熟だった

美しく咲く花道の
景色を楽しみ 香りを楽しむ
甘いものを胸いっぱいに吸い込み
とろとろと溶けてしまいそうになりながら
溺れているのが少女のわたし

たっぷりの栄養を含んだ土は
素っ気無く 孤高に強く
初めて飲んだウィスキーのような
むせ返りながらも癖になる
大人のふりをしているわたし

風、が
花びらを飛ばした
土はただ静かに
黙ってただ、そこにいた

下を見れば
揺れる花弁と小さな足跡

全てのものは
大地から生まれたのだろう
命の香りは
甘くても苦くても芳しく


自由詩 命の香り Copyright あ。 2009-04-01 22:37:47
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