命の香り
あ。
土の香りを喜ぶには
まだ余りにも未成熟だった
美しく咲く花道の
景色を楽しみ 香りを楽しむ
甘いものを胸いっぱいに吸い込み
とろとろと溶けてしまいそうになりながら
溺れているのが少女のわたし
たっぷりの栄養を含んだ土は
素っ気無く 孤高に強く
初めて飲んだウィスキーのような
むせ返りながらも癖になる
大人のふりをしているわたし
風、が
花びらを飛ばした
土はただ静かに
黙ってただ、そこにいた
下を見れば
揺れる花弁と小さな足跡
全てのものは
大地から生まれたのだろう
命の香りは
甘くても苦くても芳しく