四月一日より五月一日へ
夏嶋 真子
わたしは、ここ
あなたは、そこ
この距離は因果律
決して縮まることはない
時間はいつも嫌になるくらい前向きで
振り返ってはくれないから
誰もが桜の空を仰いでいることを
嘘が歩き回って笑顔をつくっていることを
新しいスーツがぎこちない挨拶を交わしていることを
わたしが今、たしかにここにいることを
あなたは知らない
あなたから見えるのは
はるか未来の小さな小さなわたしの背中
わたしの中にあるものは
すべての命萌えいずる五月のためのバトン
この距離は因果律
あなたの描く空の色が知りたい
四月一日と書いて、わたしの名前はつぼみ
五月一日と書いて、あなたの名前はあお