白い夢
白昼夢

夢を見る

なくなってしまった花園が
満開の花たちであふれているのを
今年の春も暖かい
鳥たちも歌っている
真っ白なドレスを着た少女が
花びらを一つ口に咥えて微笑む

噴水の近くに小さなテーブルがあり
そこで午後は紅茶を飲む
小鳥の囀りを聞きながらの至福
風はかすかに夏の始まりを告げていた



均衡が崩れる

放たれた矢
 迫る炎
朽ちてゆく館
 燃える絵画
灰になった花たち

黒いドレス



そこで目が覚める
夢はどこへ行ってしまったのだろうか
今ではもう見えない遥か遠い地
光に照らされた空には、もう見えなかった

花びらは、もうどこにも無いのだろうか、あの真っ白な欠片さえ!
辿る足音の先に、もう夢は残っていなかった
空が明るい

あれから何度目の春だろう


自由詩 白い夢 Copyright 白昼夢 2009-04-01 07:19:31
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