白い夢
白昼夢
夢を見る
なくなってしまった花園が
満開の花たちであふれているのを
今年の春も暖かい
鳥たちも歌っている
真っ白なドレスを着た少女が
花びらを一つ口に咥えて微笑む
噴水の近くに小さなテーブルがあり
そこで午後は紅茶を飲む
小鳥の囀りを聞きながらの至福
風はかすかに夏の始まりを告げていた
均衡が崩れる
放たれた矢
迫る炎
朽ちてゆく館
燃える絵画
灰になった花たち
黒いドレス
そこで目が覚める
夢はどこへ行ってしまったのだろうか
今ではもう見えない遥か遠い地
光に照らされた空には、もう見えなかった
花びらは、もうどこにも無いのだろうか、あの真っ白な欠片さえ!
辿る足音の先に、もう夢は残っていなかった
空が明るい
あれから何度目の春だろう