ピンポンダッシュは二度ベルを鳴らす
恋月 ぴの

この野郎、ピンポンダッシュしたろかな

マンションだと言われればそんな気もするアパートの角部屋
レースのカーテン越しに人の気配が行ったり来たり
どうやら生きてることは間違い無さそうだけど

派遣の仕事打ち切られてしまいそうだ

そんなメールが届いたっきり音信不通となってしまった
結婚しているわけじゃないのだから余計な迷惑かけないでとか
気安く相談事なんか持ちかけないでよとか言い過ぎたのかな

本音で話し合える仲と思っているだけだしさぁ

後輩に奢りすぎたかパチンコで大負けしたのだろうと知らんぷりしてたけど
とりあえずの用事作ってあいつの暮すアパート訪れてみた

見知らぬおんながいたりして

それはそれで大ショックには違いないけど
心配なものは心配だったりするし
ガチでふざけた話だよね

様子を窺うようにして部屋の周りとか見回してみても
おんなの人が出入りしたような気配感じられないし
やっぱし部屋のなかで落ち込んでいるのかな

きっと、お腹減らしているよね
スーパーの買い物袋を両手に下げた自分自身がいじらしくて

ぶちっ、そんな感触の呼び鈴を人差し指で押してみたけど

お〜い、部屋のなかで鳴ってんかな?

おせっかいな自分自身にうんざりしながらも
バカなわたし、ぶちぶち呼び鈴に力込め唸ってみたりする




自由詩 ピンポンダッシュは二度ベルを鳴らす Copyright 恋月 ぴの 2009-03-31 21:18:17
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