憂さ晴らし
竜門勇気

腐る手のひら見続けているだけ
糧すら奪われそうっつーのも見ているだけ
食わずも飲まずも飽きるものか
繰言の嘘が我が身を焦がす

言わずつれづれもどこ吹く風か
求めた喜びの熟れの果て 憂さ晴らしの


茹だる毛の先苛立ちの唾
誰彼も呟く人の悪口よ
関わらず好まずばかりも飽いた
戯れた結末の家路をたどる

腐り くれぐれも 他言すべしと
課した自戒も熟れの果て 憂さ晴らしの


夢と光は
ふくろうが
くわえさったよ

手の先も見えぬ
暗がりが
くわえさったよ


苦い戒訓も人任せ爪に灯す
火のかけらもみあたらず
くたぶる のは俺だけなのか
翳った爪先に反吐を吐き続ける

向かいて髭も伸びどおしよと
鏡卓に映るは熟れの果て 憂さ晴らしの

悪鬼も今は俺を畏れて
面構えにゆるく息吹くばかりか 憂さ晴らしの

憂さ晴らしの
嗚呼 憂さ晴らしの

浮かぬ憂世の
嗚呼 憂さ晴らしよ


自由詩 憂さ晴らし Copyright 竜門勇気 2009-03-31 02:21:54
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