フリカエル

このてのひらには

なんにも無いね


これからは
ひとりきりで長い旅路を歩かなきゃならないってのに


会話のあいだにもれるため息はまだ夢をみている



運命線をたどって


いつかまた夢をみて

茜さす教室の窓に映った
あの時の自分の


まだ美しかった顔に

少しずつさよならを言おう


またね、と一言添えることを忘れずに



何度でも夢をみる

寂しさを飼いならして
ため息をつきながら弱さと肩を組んで

ずっとずっと迷い続けながら

口笛なんかも吹けるだろうか


人生そんなに捨てたもんじゃないと嘯いたりして


幸せという言葉に憧れつづける




まだてのひらには

何にも無い



空が桜の花で曇る頃には



何か新しいものを

今まで通りの日常を
これから先の未来を


自分が生きてきた時間を



少しは綺麗だと言えるようになっていたいな






自由詩 フリカエル Copyright  2009-03-28 19:49:14
notebook Home