せなか
山中 烏流
振り返らない背を
見つめ続けるわたしが
さみしい
***
足首までのコートから
あなた/の、ような
香りがして
眩む
抱いて眠る
、と笑いあった冗談は
本当のことを言うと
冗談なんかではない
でも
あなたにとって
わたしの発言は、冗談に
なってしまった
から
今日のところは
ハンガーに掛けておく
ことに、する
***
あなたの背中って
こんなに
大きかったかしら
腕を回しきれないのが
何故か、もどかしい
***
困らせるために
わざと
帰ろうとしたり
意味のない嘘を
吐いたりすることは
やめる
やめる、から
どうか
背中を見せたりは
しないで
***
あなたを呼ぶ声が
部屋にこだまして
、
さみしい。