ひいばあちゃんの話・働くこと
明楽

ひいばあちゃんはな
いっつも縁側で内職しとったんやわ
そこでいちんちじゅうな
つるらるらーって数珠みたいに
ぎょうさんつながったしょう油入れを
ずーっとぼじっとってなぁ

( ほら、おすしなんかについとる
  さかなの形しとるのんあるやろ?
  あれ、ナイロンのホースみたいなんを
  機械でがっちゃんがっちゃんはさんで
  さかながつながったのんを作っとるんや
  それを一つ一つ手でぼじって
  あのしょう油入れにするんやで )

たまに近所のおばちゃんらぁが
「せぃだしとるんけぇなぁ」って
畑や田んぼの帰りに
ひょいって顔出したりしてな
そのおばちゃんらぁと話とるときも
手はずーっと動かしとってな
そうやっていちんちじゅう
働いとったんやわ

ひいばあちゃんが死んだんは一〇二やけど
九十くらいまでずっと
内職してお金 稼いどってなぁ
年金とかでお金なんか
ぎょうさんもらっとったと思うけど
そんなん関係ねぇって感じで
生きとるんやしけぇに
働くんが当たり前やって感じで

それがなぁ
子供心にごっついかっこいぃてなぁ
うちもひいばあちゃんみたいに
死ぬまで働こう!思ったんやわ
生きて物食うとるんやしけぇになぁ
それが当たり前っちゃぁ
当たり前なんやんなぁ


自由詩 ひいばあちゃんの話・働くこと Copyright 明楽 2009-03-27 20:47:53
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