ひいばあちゃんの話・働くこと
明楽
ひいばあちゃんはな
いっつも縁側で内職しとったんやわ
そこでいちんちじゅうな
つるらるらーって数珠みたいに
ぎょうさんつながったしょう油入れを
ずーっとぼじっとってなぁ
( ほら、おすしなんかについとる
さかなの形しとるのんあるやろ?
あれ、ナイロンのホースみたいなんを
機械でがっちゃんがっちゃんはさんで
さかながつながったのんを作っとるんや
それを一つ一つ手でぼじって
あのしょう油入れにするんやで )
たまに近所のおばちゃんらぁが
「せぃだしとるんけぇなぁ」って
畑や田んぼの帰りに
ひょいって顔出したりしてな
そのおばちゃんらぁと話とるときも
手はずーっと動かしとってな
そうやっていちんちじゅう
働いとったんやわ
ひいばあちゃんが死んだんは一〇二やけど
九十くらいまでずっと
内職してお金 稼いどってなぁ
年金とかでお金なんか
ぎょうさんもらっとったと思うけど
そんなん関係ねぇって感じで
生きとるんやしけぇに
働くんが当たり前やって感じで
それがなぁ
子供心にごっついかっこいぃてなぁ
うちもひいばあちゃんみたいに
死ぬまで働こう!思ったんやわ
生きて物食うとるんやしけぇになぁ
それが当たり前っちゃぁ
当たり前なんやんなぁ