雪国をゆく
こしごえ
いくたびも 舞いおりる雪を手のひらに
受けてとけてゆく
いのち
広がる空の
仄暗い 灰白の冷たさ
肺に響く
視野は遠く
山脈のそびえる ふもとの森も
しずまりかえっている 小鳥もおやすみ
黒と白に
この時 一陣の風にゆれる
枝枝に眠る冬芽の
春を
待ち尽す夢
見上げるほどの雪深い底を泳ぎ営む微笑みを
閉じた国の、白く降りしきる
死の淵を。回る星
冬芽
私は、思う
思わなければならない世界に住んでいる
一枚の木の葉の舞いおりて
やがて、土に帰る
目を覚ますのです
大理石の支柱をわたる風を 瞬いて 枝枝に
ともす 記憶の彼方から ゆるぎなく 火葬
場の石段に腰をおろし見上げる空に、狐の嫁
入り。
別れは必ず訪れる いつもこれは
閉ざされた永遠の歌を下しながら、
覚醒していくのさ
つくづく(終りなく)思いつつ。
かなしびをつらぬいてこの時
静けさ無数にみちる光へ手を伸ばす、微笑み
じんじん、と息も白く歩む人影雪道を