街
壮佑
―朝
ビルの階段を降りて行くと
何かの軋む音がする
たくさんの
時間の積み木が
押し合い
こすれ合って
順番を決めている
―歩道を歩く
山桃の並木が
慌てて生えてきたように
ぎくしゃくと
落ち着かない様子
―風が梢を整える
向こう側の歩道を
ストッキングを履いた
足だけの人が歩いて行く
だんだんと
胴体も付いてきた
―疾走する音と残像
アスファルト道路の
濡れた表面に広がる
細かな光の粒々
ひとつひとつが
お喋りしながら
舞い始める
―視線は向こう側へ
光の中から
街が現われた
自由詩
街
Copyright
壮佑
2009-03-26 21:45:45
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