不自由な一択
セシル

いつまでもとぼけてなんていられない
時計の電池はもうすぐ切れる
首筋に這う刃物の切先はじわじわ侵食してきてて
皮膚を緋色に染めるから
本格的に食い込む前に 早く早く

夢見心地で歩けていた昨日はもうなくて
細胞が壊死しそうな明日がただただ広がるばかりだ

ここいらで覚悟決めて
僕から安定崩さなきゃ ふたりは何処へも行けないんだ
鉄板の仕込まれた靴で後戻りする道を
容赦なく叩き壊してきたから

君が泣いてたのを知ってる
自己満足でその涙を強引に拭ってきたけど
そんな事して引き延ばしただけ 僕らの苦しみが弥増すなら

サヨナラ
力なく呟く
心にもない言葉
最善への道しるべ


自由詩 不自由な一択 Copyright セシル 2009-03-26 19:45:45
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