奔光
木立 悟





右手を透る左手が
咽の前に描く球は
星の生まれ 空の生まれ
笑みの生まれ 穂の行方



陽曇雷海砂瞳
五本の明るい指と柱
あたたかさはどこからもやって来ない
あたたかさはぽつりとただそこに在る


冬の仮面を持つものが
片目を晒し景をまとい
茎を模した狩人のそば
鬼を歌い すぎてゆく


あたたかな肉を持ちかえるため
刃は幾度も午後にひらめく
ねじれた息と寒さの道
白より白い 舌と音の道


滝を見ている
青は既に
水を視ている
己れを貫き 他を連れてゆく


水のなかの光の樹
海をかたどる熱のかたち
鉄の中心 ひよわな命が
くりかえし鉱の空を呑む


























自由詩 奔光 Copyright 木立 悟 2009-03-25 21:47:40
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