家路
遊佐




帰り道は
いつも心が弾む
悲しいことや
辛いことがあった日も
雨の日も
雪の日も
いつも同じ道を辿り、あなたが待つあの家へと歩いて帰る

どんなに疲れていてもどんなに悲しみにうちひしがれていようとも
あなたの笑顔が
わたしを優しく迎えてくれるから

今夜は何を食べようか今夜はどんな話をしようかと考えながら歩けば、暗く長い道も楽しい

あなたを好きだと意識したことなど一度もないのは
きっとあなたが居ない世界なんて考えられない位に、あなたのことが好きだからでしょう
気がつけば
いつもあなたの隣に座っていて
気がつけば
いつもあなたの膝で眠りに就いていた

転んで擦り剥いた膝も火遊びして火傷した指先も
みんなあなたが治してくれた
熱にうなされた夜には枕元に座り
むずかるわたしに素敵なおとぎ話を聞かせてくれた

あなたにとっては当たり前の一つ一つが
わたしにとってはかけがえのないもので
あなたがわたしの為に費やしてくれた時間の長さは永遠よりも長く重い一時で、
それはあなたとわたしの一番なんだと

ねえ、この頃
そう思うんです。





自由詩 家路 Copyright 遊佐 2009-03-23 21:18:53
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