ステラおばさん 
服部 剛

ホワイトデーの3日前 
クッキー屋の前に立ち 
義理チョコレートのお返しばかり 
虚ろな瞳で探してる 
もの欲しそうな、男がひとり。 

若い女の店員から 
硝子ケース越しに 
手渡された 
紙袋のまんなかに 
ステラおばさんが、笑ってる。 

エプロンを白い日射しに照らされて 
皿にあふれんばかりのクッキーを 
誰かに手渡すことが 
歓びそのものであるように。 



  


自由詩 ステラおばさん  Copyright 服部 剛 2009-03-22 08:46:43
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