虹が染み、
たりぽん(大理 奔)

  この季節に居たくない夜
  どこか、向こうがわを見ようとする
  すべり台の天文台に寝そべって

どんな温もりでも
消えていくときはいつも赤い星
経験の記憶が
証ではないのに
あいつらはいつも
遅れてきた光だけをさがして

  星たちが
  生まれたことも忘れて、
  笑わせるよね
  生きてる意味だなんて
  
水溜まりで
虹が綺麗、だって
整備工場のドラム缶置き場
染みこんでいく
記憶のように虹は

  赤い星が映す虹は
  あかいだろ、生きてるように
  遅れてきた記憶だけをさがす
  宇宙は水溜まりだね

あかいよね
あかいあかい

自分を捜したいから
薄皮をひん剥こうとするのかい
おおきなあかい星の虹、が
染みているだけ

この季節に居たくない夜
ゆびさすあいつらを
鳥葬にするんだ
すべり台に
寝そべった僕を
黒くて鋭いくちばしが
啄むんだ




自由詩 虹が染み、 Copyright たりぽん(大理 奔) 2009-03-22 00:28:19
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