ちりり、燃える、
石畑由紀子

しゃわしゃわと濡れそぼってくアスファルトに嫉妬していたビー玉の夏



街じゅうに言い訳にじむ赤信号は迷子の大人達にやさしい


新型なら上書きができるんだろう 消しゴムかけて毛羽立ちに、泣く


胸で食むうさぎを鍋で煮る 白くさみしんでゆく背中のカーヴ






撥ねたのは過失なんです、《Uターンしてから二度目はゆっくり轢いた、》





あおぞらに拡散してくポプラの綿毛ぽつり見上げる恋の格差よ


解くことが答えではない ポケットの中でちりりと燃える知恵の輪





「圏外」になったこころで抱き合ったアストロノート 《コスモスよ、咲け、





草食の君に差しだされ熟れたトマトに歯をたてる貧血の朝に







※『題詠blog2009』参加作
 011:嫉妬
 012:達
 013:カタカナ
 014:煮
 015:型
 016:Uターン
 017:解
 018:格差
 019:ノート
 020:貧


短歌 ちりり、燃える、 Copyright 石畑由紀子 2009-03-21 23:12:48
notebook Home