カルピス
あ。
カルピスの底みたいな白濁色に
おぼれてしまう人を笑うことなど出来ない
明かりがいつも灯っているわけではなく
でも闇ばかりというわけでもない
はっきりしない色に囲まれて
遮られた視界を嘆く
いくらもがいても出られないなら
いっそこのまま浮遊すればいい
大声を出して喉を痛めるならば
何も語らなければいい
飲み込まれてしまうことを
どうして悪いと言えるだろう
流れに流され漂っている人を
誰が責めることなど出来るだろう
暑い昼間に母が作ってくれた
氷がからころと浮かぶカルピスを思い出すと
ほんの少し胸は痛むけれど