春景色
nonya


おぼろ月夜に
醤油をかけて
チュルルと
流し込んでも
うしろめたい後味が
背筋を駆けるだけだからって

桜の散り際を
ゼリーで固めて
トゥルルと
頬張っても
安っぽい哀しみが
鼻先で臭うだけだからって

理由のない
不安の羅列を
プチプチと
潰していても
ヘソの真裏あたりが
むず痒くなるだけだから

居たたまれず
ほつれた約束を
タドタドと
手繰りながら
歌う風の端に
どんよりと流れ出してみた

スクランブル交差点で
はしゃぐうららに
しかめっ面をすれば
僕も春景色に
なれるのだろうか




自由詩 春景色 Copyright nonya 2009-03-20 08:56:15
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